思い出の馬フォトコンテスト【歴史的写真の部】全受賞作品

最優秀賞 「農耕馬」 岩佐明治さん

[応募コメント] 昭和39年頃は、まだ畑作は馬が主役の時代で外国製トラクターが活躍している姿は珍しい程でした。各農家には5~10頭の農耕馬が飼育されていて、夕刻多数の馬が農作業から戻ってきた時などは水やりに大変苦労したことを今でも鮮明に覚えています。この写真は兄が青年期農業を担い始めの懐かしい1枚です。

 人馬一体の馬耕時代を伝える貴重な写真。高価であったカメラを持っている人は少なかった昭和30年代に、晴れ着の記念写真を撮る人はいても、こうした日常を撮影した作品は稀。画質も良く、コメントを含めて、馬文化のみならず、かつての農業の姿を鮮明に伝えた素晴らしい作品に、審査員全員が高ポイントを付けて最優秀賞に決定しました。


優秀賞 「阿寒国有林で」 岡田高市さん

[応募コメント] 阿寒国有林で、父が足寄の畑中林業に依頼され、夏から冬にかけて木材の切り出しを手伝っていた頃、父の馬を林業会社の人が撮影してくれた一枚。馬は作業を覚えて、山の上で丸太を繋ぐと一人(一頭?)で、坂を下り、土場(材木集積場・写真下部)まで行き、人間が丸太を外すのを待っていた。父は農業を営んでいたが、こうした材木運搬用の馬を2頭飼育しており、あちらこちらの、お祭りばん馬でも、この馬たちは活躍。1トン近い大柄な馬だったので、たくさんの優勝カップなどが、今も家に残っている。

馬の力強さ、賢さ、高い運動能力に加え、人馬の厚い信頼関係も感じられる一葉。山林で働く馬の姿を捉えた、これも貴重なショットとして、高く評価されました。

 

優秀賞 「馬」 石川潔さん

[応募コメント] 支那事業当時は戦場へ農家の馬を提供するすることになった。農家の馬を競馬場に集め「軍馬」を決定しました。父は「馬がすき」であったので軍馬に選ばれた事が自慢であったと思います。

馬好きの亡父の若かりし頃の写真。軍馬として買い上げられたことは、大きな誇りであり、自慢であった、とのことですが、この満面の笑みが、戦中の人々の気持ちを如実に語っており、その後の軍馬の末路を思い合わせると複雑な感慨を催さしめる写真です。保存状態の良さも併せて、歴史資料として高ポイントを獲得しました。

 

とかちむら賞 「父の可愛がっていた馬」 佐竹早苗さん

[応募コメント] 今回は、亡くなった父が大切に持っていた写真を見ていただきたくて申し込みました。父は養子で、馬の青と山を登ったり遊んだことを聞いたことはありますが、この写真の馬のことなのか分かりません。生前にもっとたくさん話を聞いておけば—と、後悔しています。高齢の母に聞いても定かではありません。どなたかご存知でしたら、戦時中のことかもしれません。話を聞かせてくださると幸いです。

これも軍馬出征の写真ですが、詳細は不明とのこと。馬が大好きだったお父様の大切な思い出の一葉としても貴重ですが、軒が隠れるほどの大雪の中、赤ちゃんまで集っての愛馬との記念撮影は、当時を偲ばせるに十分です。「(父の)生前にもっと話を聞いておけば……と、後悔しています」という応募者のコメントも印象的でした。

 

とかちむら賞 「懐かしい草ばんば大会の思い出」 内芝義一さん

[応募コメント] 昭和40年代には農作業の機械化も進み馬の姿はあまり見かけない時代でしたが、富良野近郊の地方祭で農家等の馬好きの人達の楽しみとして地元では最後の「草ばんば大会」が東山で開催されました。我が家からは力自慢の愛馬を2頭出走させ、また亡き母は婦人レースの騎手として参加し優勝し、亡き父が優勝旗を手に持ち馬と共に馬場を一周し観客から祝福の拍手を頂き、自慢気な父の姿を懐かしく思い浮かべる写真です。

富良野市東山でかつて行われていた草ばんばの風景。今は亡きお母様が、婦人レースの騎手として愛馬の手綱を取った時の写真とのこと。昭和43年の珍しい風景、しかもカラー作品でもあり、貴重な一枚ですが、何より、画面から草ばんばの熱気が伝わる迫力ある作品と言う点が高く評価され、入賞作に選ばれました。

 

とかちむら賞 「移住三年記念」 浅野年實さん

[応募コメント] 浅野家一家族。馬も含めて! 幼い頃、タンスの引き出しの中に入っていた数枚写真。「絵本」がわりに取り出してみていた私。

大正八年九月に撮影された貴重な一枚。応募作の中でも最古の写真に、審査員からも「北の大地に移住されて3年。その間の過酷な暮らしを支えた農耕馬。その存在の大きさを窺わせる歴史的にも価値ある一枚」と絶賛される作品でした。